妻の誕生日祝いに発酵と和食のお店、和N(わえぬ)に行ってきました。
地産地消・自家製調味料、食材にとことん拘った和風モダン和N
名古屋市営地下鉄「星が丘駅」から徒歩10分、ビルの1Fにあります。入り口が少し奥まってるので初めて行く人は注意が必要。麻布の暖簾が目印です。
和Nのコンセプトは「完全地産地消」。使われている食材はすべて東海三県の旬の食材が使用されています。
食材だけでなく、調味料類にも強いこだわりをもち、店奥に発酵室をもち、乳酸菌発酵・酢酸発酵・麹発酵・味噌発酵・醤(ひしお)を行っています。そこで作られた調味料は全て自家製。原材料も愛知県産の米や大豆を使っている徹底ぶりです。
この強いこだわりと独自の世界観に惹かれ、楽しみにやってきました。わくわく。
料理が想像できない!?独創性あふれるメニューに高まる期待
内装は木を基調とした和モダンテイスト。今回は誕生日祝いということもあり、個室にしてもらいましたが、入口には大きなカウンター(8人がけ)でライブキッチンのように料理過程が見られます。
テーブルには染物のふきんと名前入りのウェルカムカードが。名前も入れていただき嬉しいものです。
ウェルカムカードは立てるとメニューになっています。このメニューがまたおもしろく、全然料理が想像できないものが多いんです。素材名が入っているものは一旦良しとして、
「二段階熟成~新感覚マリアージュ~」や「絶妙な火入れ~旬の力~」は
一体何が出てくるか想像も付きません。少し困惑しながらも期待が胸に広がります。
自家製酵素ドリンク「Nのコンブチャ」
和Nには飲み物のグランドメニューが無く、料理や好みにあわせて提供してくれます。今回はペアリング3種を注文。コース料理にあわせてぴったりのドリンクを提供してくれます。ペアリングはアルコール/ノンアルコール共に用意されています。
ペアリングを注文すると、まずは和Nのドリンクのベースになるというコンブチャというオリジナルのドリンクをいただきました。コンブチャにはフレーバーが予めフレーバーがついています。今回は一番スタンダードな味わいが楽しめるというイタリアンパセリをいただきます。
このドリンク「コンブチャ」という名前ですが、昆布もお茶も使っておらず、中国由来の発酵ドリンクとのことです。
飲んでみると果実酢のようなツンとした酸味と甘味が舌に広がります。ただ、喉を抜ける時には酢のような強さは無く、さわやかでするっと飲みやすい。不思議な感覚です。
そんな初体験な飲みものコンブチャ。ペアリングではこのコンブチャを色んなお酒で割ってご提供いただきます。
コンブチャ×ビールで爽やかで優しい飲み心地
一杯目はビールをコンブチャ(ローズマリー)で割ったドリンクです。ビールの苦味をコンブチャの甘みが和らげており、ビール苦手な人でも飲みやすそう。
乾燥・熟成を堪能できる秋の野菜オードブル
ビールを飲んでいると、早速オードブルが運ばれてきました。
秋をイメージした大型のディスプレイです。
失礼ですが、最初はディスプレイの葉っぱに見えてしまったこちらは「乳酸発酵キャベツのサンドイッチ」噛むとパリッとした食感の中に噛めば噛むほどに乾燥して凝縮されたキャベツの甘みが感じられます。
キャベツの間には里芋のペーストが重ねられており、里芋の柔らかい甘みとキャベツの塩気との対比が味わい深いものでした。
こちらは麹漬け枝豆のフリット枝豆のホクホクと麹のやわらかなまろみが美味しい。
続いて、ズッキーニのグリル低音でじっくり焼いているので柔らかくズッキーニ本来の味わいが楽しめます。間にはベリー系のソースが入っており酸味のアクセントが面白い。
最後は甘みのいちじくのグリル。凝縮されたイチジクの甘みと爽やかな酸味が口いっぱいに広がります。
旨味たっぷり!すくなかぼちゃの椀物
オードブルを楽しんだ後は汁物の登場です。
すくなかぼちゃと麹の汁物。一口飲むとその旨味にびっくり!!かぼちゃと麹でこれだけ複雑な味わいが出るのは驚きです。ゆず皮があしらえられており、柑橘系のさわやかが味全体を引き締めます。
具はバターナッツかぼちゃとのマコモダケと三河湾のふぐ。マコモダケは初めていただきましたが、シャキシャキした食感にほんのり甘い淡白な味わいが美味しいものでした。
白ワインのコンブチャ台湾バジル割
ここでドリンク2杯目です。白ワインのコンブチャ(台湾バジル)割です。
ビールと同じくコンブチャが入ることで、ワインの角がとれてすっと飲みやすくなります。美味しい!台湾バジルは八角のようなスパイスの香りで味をひきしめてくれます。
二段階熟成のイワシのソテー
白ワインに合わせるのはやっぱり魚料理。二段階熟成のイワシソテーをいただきます。
1週間熟成させた後、2週間麹につけたダブル熟成のイワシ。その上にナスのグリル、ルッコラ、乾燥レモンパウダー、魚の旨味せんべいが乗っています。
イワシはほろっと柔らかく脂の乗りが良し。まろやかな麹のまろみがそれを引き立てます。通常ソースで食べる事が多い魚料理ですが、無くとも美味しく仕上げる発想に脱帽です。
やわらかとろける!!鳳来牛のタルタル
続いて肉料理鳳来牛のタルタルの登場です。
鳳来牛は脂の融点がひくく、脂がとろける40~50℃でゆっくり火入れを施します。そこに10日間熟成あわびだけと瀬戸の卵黄ソース、乾燥酢橘が添えられます。
口に入れるととろけるとはまさにこの事。黄身のまろやかさと鳳来牛の脂の甘みが混じり合い口いっぱいに広がります。思わず笑顔になる美味しさ。
あわびたけは食べると独特の風味が鼻をぬけるのが快感でくせになりそうです。
オーク樽香る日本酒
最後のお酒は日本酒。色んなタイプのお酒をバランスよく出してくれるのもペアリングの良さです。
オーク樽につけた日本酒オーク樽の香りが豊かでかなり気に入りました。ワイングラスで日本酒飲むのもオツで楽しい。
この日本酒に1年熟成されたレモン汁を好みにあわせて垂らしていただきます。個人的には樽の香りを強く感じられる方が好みだったので控えめにいたしました。
パリッとレアなサワラのグリルのダブル味噌ソース
10日熟成させた旬のサワラを皮目がパリッと中はレアに焼き上げた一品。味噌バターを乳化させたソースとパウダー状にした味噌のダブル味噌ソースでいただきます。
味噌バターの癖のある苦味と日本酒の相性が抜群でした。癖の合うものを組み合わせるとどうしてこんなに美味しいのでしょうか。
やはらか三河豚麹漬け焼き
肉料理二品目は豚料理三河豚の麹漬け焼きです。
1週間麹熟成三河豚を低温調理、麹の作用と絶妙な火入れで分厚い豚肉もとても柔らかくジューシー!
脂が甘いのも三河豚の特徴で、飲み込むのがもったいないおいしさでした。
付け合せは安納芋と干し柿とクレソン。安納芋は豚の脂とはまた違った芋の深い甘みを感じ、とても良い組み合わせでした。
旨味爆発しいたけ土鍋ご飯
続いて、土鍋のしいたけご飯の登場です。炊き上げられた土鍋が運ばれ、仕上げはテーブルで行います。この時点でしいたけの香りが部屋いっぱいにひろがり期待大です。
しいたけがたっぷり入った炊き込みごはんに、低音調理された鶏肉をいれて混ぜ込みます。
鶏肉はピンク色で美しい、見るからにジューシーで美味しそう。
手際よく混ぜて…
完成です!!
口に運ぶと、上品な椎茸の香りが広がりとても贅沢。鶏肉はこうじで漬けられていてとても柔らかで甘みが深い。
お米の炊き方も絶妙で、しいたけの旨みを極限まで吸っていてお米一粒一粒が美味しい。この時点で結構お腹一杯でしたが、いくらでも食べられそうな旨さでした。
付け合せのとうがんと黒ウリのこうじ漬物ももちろん自家製。塩気より酸味強い漬物で、優しい味わいが良い塩梅です。
お茶漬けにするとさらに美味しい!
昆布だしとと豆乳のおだしをかけて、最後はお茶漬けにしていただきます。
はい。もう何も言うことはありません。しいたけ、鶏肉、麹、昆布、大豆と旨味の大爆発です。コースの締めに相応しい一品でした。
熟成アーモンドアイス
デザートは誕生日お祝いプレート付きで出してもらいました!
一ヶ月火を入れ続けたというアーモンドのアイスをベースに恵那の栗、芋フライがあしらわれたものです。芋フライのしょっぱさとアーモンドアイスのコクと甘みの対比がよい一品です。
おまけに和N特製の水まんじゅうとラングドシャをいただきました。水まんじゅうはコンブチャ入りです。コンブチャの柔らかい酸味が良くつるっとのどごし爽やか。ラングドシャは発酵バターの風味が豊かで一口でこだわりを感じます。
美味しいごはんは美味しい知識とともに
期待も大きかったですが、その期待以上に大満足なお店でした。
美味しいごはんはもちろんですが、料理を運んでもらった際に、シェフからからの料理の説明や思いが聞けることや、素人には思いつかない食材の組み合わの発見が、とても有意義だと感じます。
我々は料理と同時に、シェフの思いや経験もいただいているのだなと感じるステキな時間でした。ごちそうさまでした。