みりんは「ただの甘味料」じゃない!料理が劇的に変わるみりんの5つの科学効果

2025/06/13 B! 0 f 0 X 0

和食を作る際、お酒と醤油と一緒に当たり前のように入れている”みりん”。でも、なぜみりんを入れるのか、その理由を知っていますか?

「みりんって、砂糖と何が違うの?」 「なぜ入れるとおいしくなるの?」

実は、みりんはただの「甘味調味料」ではありません。照り・香り・味のしみ込み方…そのすべてに化学的な理由が隠されているのです。

今回は、そんな”みりん”の正体と科学的な働きについて、わかりやすく解説していきます。それでは早速どうぞー!

みりんってそもそも何?

みりんは、もち米・米麹・焼酎などを原料にして、時間をかけて発酵・熟成させて作られる発酵調味料です。

糖分だけでなく、アミノ酸や有機酸、アルコールなど、料理の味を豊かにする成分がバランスよく含まれています。

本みりん・みりん風調味料・発酵調味料の違い

ちなみにスーパーのみりんコーナーには似た商品がありますが、明確な違いがあります。個人的には少し高めですがやっぱり本みりんがおすすめです!

  • 本みりん 伝統的製法で作られたアルコール(約13〜14%)を含むみりん。豊かな香りとコクが特徴です。
  • みりん風調味料 アルコールが1%未満で、甘味料などで「みりん風」に調整されたもの。安価ですが風味は軽めです。
  • 発酵調味料(加塩みりん) 業務用が多く、塩が加えられているため、家庭料理にはやや不向きです。

地元・半田のみりん文化

実は、筆者の住む愛知県には、半田市というみりんの本場があります。

特に「九重みりん」に代表される本格みりんは、江戸時代からの製法を守り、1年以上の熟成を経て仕上げられます。その深い琥珀色と、まるで甘いワインのような香り。料理に使うだけでなく、そのまま口に含んでも美味しいのが本みりんの真骨頂です。

半田では、東海地方独特の「濃い味文化」にぴったりなコク深いみりんが、地元の煮物や照り焼きの味を支えてきました。蔵見学や直売所なども充実しており、みりんが地域の食と結びついた、まさに「食文化」の一部となっています。

甘さだけじゃない!みりんの5つの科学的な役割

さて、「なぜ料理にみりんを入れるのか?」その答えは、みりんに含まれるアルコール・糖・アミノ酸がもたらす化学的効果にあります。

① 照りとツヤを出す(糖のカラメル化)

みりんの糖分は、加熱によってカラメル化し、料理に美しい照りを与えます。いわば「見た目の旨さ」です。焼き魚や煮物が食欲をそそる色になるのは、みりんのなせる業なのです。

② 煮崩れを防ぐ(アルコールの働き)

アルコールは、食材の表面のたんぱく質を適度に引き締め、煮崩れを防止します。特に魚や芋類に効果的です。崩れやすい里芋の煮物などには、最初にみりんを入れて加熱することで、形が美しく仕上がります。

③ 臭みを取る(揮発と香りの相乗効果)

アルコールは揮発性が高く、加熱とともに魚の臭み成分を一緒に飛ばしてくれます。また、みりんの甘く香ばしい香りが料理全体を包み込み、素材のクセを和らげる効果もあります。

④ 味のしみ込みをよくする(浸透圧の効果)

砂糖に比べてみりんは糖濃度が緩やかで、かつアルコールが含まれているため、素材の細胞を壊さず、じわじわと味を染み込ませる効果があります。時間をかけて煮含める煮物にぴったりです。

⑤ コクとうまみを増やす(アミノ酸・有機酸の効果)

発酵を経たみりんには、アミノ酸や有機酸が豊富に含まれています。これらがうま味を増幅させ、「ただ甘い」だけでない深みのある味を演出します。

砂糖とみりん、どう違う?

ここで「砂糖でも甘くなるのでは?」と思う方もいるかもしれません。しかし、両者の甘味の質は大きく異なります。

砂糖はストレートで強い甘味。すぐに甘さを感じ、味の輪郭をはっきりさせます。それに反して、みりんは柔らかく、時間をかけて立ち上がるような甘味。全体を丸く、なめらかにまとめる効果があります。

たとえば肉じゃが。砂糖だけだとややとがった味になりがちですが、みりんを使うとまろやかさと照りが加わり、「料理上手感」が格段にアップします。

意外と知らない?みりんの歴史

実は、みりんは本来、料理用ではなく飲用酒でした。江戸時代、甘くて上品な味わいの本みりんは「女性のためのお酒」として親しまれていました。お正月の「お屠蘇(おとそ)」にも使われており、今でも半田ではみりんをそのまま試飲できる酒蔵もあります。

まるで極甘のリキュールのような味わい。スーパーで手に入る「みりん風」とは別物です。料理にも文化にも深く根ざした、発酵の恵みなのです。

みりんは「味付け」ではなく、「技術」だった

みりんは、甘味調味料以上の科学的な働き歴史的な奥行きを持っています。

その一滴が、料理に照りを与え、臭みを消し、味のバランスを整える。砂糖では出せない”料理上手の魔法”が、みりんには宿っているのです。

特に、筆者の住む愛知県半田の本格みりんは、地域の味の決め手でもあります。ぜひ「九重みりん」などを使って、ひと味違う煮物を体験してみてください!

参考文献

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